邦寿の重い思い
2006年1月6日に劇団前進座の「三人吉三」公演の開演前にミニ歌舞伎教室へ出演参加いたしました。 大勢の座員の方や床山さん、照明さん達と会うのも久し振りでとても楽しいひと時でした。そして 「三人吉三」のお芝居も拝見して帰りました。別に隠す事ではないので話をするのですが、今回の数百回 続いているこの「三人吉三公演」は大太鼓以外は全部録音された音を流しております。いわゆるテープと いうやつです、実際はMDでしょうが。現在では歌舞伎以外のお芝居の場合はその殆どが録音された音楽で 行われています、ですから別に普通と考えていいのですが。そしてまた音を出すオペレーターと言うんで しょうか?その方にしたってそりゃ〜彼方上手いもんです、言っては失礼ですが・・芝居の初日から 3〜4日目ですよ、すでに「もう、あきちゃったな〜!」等と思っている プロの演奏家さんよりも それは素晴らしい間合いで音のON〜OFFをこなして行きます。生演奏か録音の音なのか、聞いている 観ているお客さんのその殆んどの方は気が付かないでしょう!それは芝居を観に来ているんで、 音を確かめに来たわけでは無いのですから お芝居は面白いし三味線の音は聞こえるし!満足満足 問題は無い・・でお帰りになる事と思います。役者さんもカッコよく内容もよく解るし舞台も綺麗でした。 じゃ〜!いいじゃないですかとも思います・・・すいません!
ですが邦寿は勿体無い・・寂しい・・と言う思いがどうしても致しました。
ハッキリ生演奏はお金が掛かる・・この一点なのかもしれません。何とかしなければと強く思いました。
帰宅途中意味もなく歌舞伎という芝居の枠を料理に置き換えてる自分がいまして、
1)役者=品物・素材だな!客はそれを楽しみに来るんだから。自らの味が大きな武器です。
2)演出家=紛れも無く料理人・コックさんでしょう。どんな料理でどんな味で決めるのはこの人。
3)大道具=キッチン・厨房だな!動きやすい便利な配置で全てが飾られてる。
4)衣装=お皿・器・グラス等料理を美味しく見せる引き立たせる役。
5)床山=難しいんですが、フライパン・鍋・等でしょうか?料理は鍋と皿だけでも出せるんです。
6)本= 水 っと思いました。美味しい料理をするにあたり、いい水に越したことはありませんが、 料理人や場合によっては水をまったく使わぬ料理もある。
7)小道具=スパイスや調味料またテーブル上の箸・ナイフ・フォーク・スプーン。
8)狂言方=店長・フロアーチーフのような役柄でしょうか?
9)音楽=(この場合黒御簾音楽とします)火の役だ!火でありたいなと思いました。
最近では電子レンジもあります、簡単便利で直ぐに何度でも暖められる。上の1)〜8)が 全て揃っていて、美味しい!でも電子レンジ料理のような気がしてならなかったのです。そのテープの 歌舞伎が・・・!私は電子レンジが悪いとかイヤだとか言っているのではありません。我が家でも 頻繁に使っておりますから、でも例えガスであろうと薪であろうと炭火であろうと、火と言うのは 温めるだけでは無く、素材に焼き色を付けたり香りを引き出したりすのにはとっても大切な物。 料理には絶対必要な物と思っているのですが、ですからそんな劇場レストランの一役になり、 お客さんに綺麗な焼き色と素敵な香りのする料理を食べさせたいなという思いが堪らなくしたのです。 それには絶妙な火加減の持ち主でなければならない。あの『ハウルの動く城に出てくる・火・のように』
何もが全部揃っていると言う事の贅沢さ、外国では物が不足している、何かを仕様としても何かが揃わない事 なんかあたり前なんだ、という事を基準にするわけではありませんが。全ては揃える事が難しい場合、何を 揃えるべきなのかは本当に考えなければいけないと思います。伝の会もライブが増えて、その台所はガスレンジや 換気扇の箇所箇所に油が付き始めているようです。コテコテギトギトになる前に皆で時々掃除をしております。
【そのうち芝居の三味線を弾く事の魅力・面白さ・大切さをお知らせしますね。】
杵屋邦寿